宮沢賢治の描いた情景や状況、紡がれた言葉やリズムをそのまま伝えたいという想いから、筑摩書房の宮沢賢治全集をテキストとして使用し、脚色を加えず句読点にも留意して表現することを基本としています。2018年度からは、 新校宮沢賢治全集を底本とし新修宮沢賢治全集や新潮文庫等を参考にして校訂、2016年に出版された宮沢賢治コレクションを使用しています。
宮沢賢治は一つの物語を書き上げる際、推敲を重ね一つ一つの言葉を丁寧に選んでいます。言葉は、時代と共に変化して行くものですが、その時代を象徴するものでもあります。書かれてあるままに、全て、伝える。それは宮沢賢治のメッセージを正確に伝えることでもあると思っています。
(今日の人権意識に照らして、不当・不適切と思われる、人種・身分・職業・身体障害・精神障害に関する語句や表現については、時代的背景と作品の価値にかんがみ、そのままとしました。 ‐宮沢賢治コレクションより引用‐)
ものがたりグループ☆ポランの会では、日本の伝統芸能「浄瑠璃」に倣って賢治童話を構成しています。浄瑠璃とは全く別物ですが、舞台に立って、語りで情景を伝えるということは同じです。古来より広く親しまれてきた浄瑠璃のように、多くの方々に賢治童話に慣れ親しんでいただきたいと願っています。
・浄瑠璃とは、三味線伴奏による語り物です。語り物とは、三味線で拍子を取りながら語って聴かせる物語の事を指します。江戸時代に入ると、浄瑠璃は多くの流派に分かれ、浄瑠璃は歌舞伎・人形劇などの劇場音楽として発展しました。現在は、「浄瑠璃」といえば、有名な一派である義太夫節を指すことが多いようです。また、浄瑠璃と人形劇を組み合わせた人形浄瑠璃の1つである文楽も有名です。(日本文化いろは辞典より)
地の文章から登場人物(キャラクター)の台詞まですべて一人で語る一人語りは、風景描写や、登場人物の行動描写、心情描写を語り分けます。語り手は宮沢賢治の創り出した物語世界と、今、生きている自分とを重ね合わせ、感じ、考え、ひとつの「ものがたり」を創ってゆきます。
地の文章を語り手が語り、登場人物を数人の役者が演じます。
地の文章と、登場人物の台詞を語り手が語り、役者は登場人物の動きや表情を語り手の描写に沿って身振り手振りを交えて演じます。