このページは、「手話と音楽と語りで綾なすライブセッション 〜すきとおったほんとうのたべもの〜 2024」のパンフレットテキストページです。

【表紙】

日下明さんのデジタルイラスト。青緑色の深い林の中。宮澤賢治がベンチに座り三日月を持っている。
右隣には、ちょこんと座った黒猫。ベンチの後ろには、黒い傘を持ったツキノワグマが、二本足で立っている。
傘の周りでは、キラキラと輝く光のカケラが降っている。その周りだけが、優しく光って地面におちている。

左上に白い文字。
「手話と音楽と語りで綾なすライブセッション 〜すきとおったほんとうのたべもの〜 2024」

下中央に、作・宮澤賢治。
2024年11月29日、30日。ルーテル市ヶ谷ホール。

【見開きページ左】

『注文の多い料理店』広告文より抜粋。

イーハトヴは一つの地名である。強て、その地点を求むるならばそれは、大小クラウスたちの耕していた、
野原や、少女アリスガたどった鏡の国と同じ世界の中、テパーンタール砂漠の遥かな北東、イヴン王国の遠い東と考えられる。
実にこれは、著者の心象中に、この様な状景をもって実在した。
ドリームランドとしての日本岩手県である。
そこでは、あらゆる事が可能である。
人は一瞬にして氷雲の上に飛躍し、大循環の風を従えて北に旅する事もあれば、赤い花杯の下を行く蟻と語ることもできる。
罪や、かなしみでさへ、そこでは きよくきれいにかがやいている。

▼さいきの ご挨拶文

ものがたりグループ☆ポランの会は、賢治作品のみを上演し続けて今年で20周年を迎えました。
賢治作品には「終わり」や「答え」がはっきりと示されていないところが好きで、追いかけても追いかけても答えに辿り着けず、謎解きゲームのような感覚で読んでいます。
「銀河鉄道の夜」でジョバンニの言う【ほんとうのさいわい】や「注文の多い料理店 序」の【すきとおったほんとうのたべもの】については、これからもずっと考え続けると思います。……ほんとうって、なんだろう?

今回ご覧いただく3つの作品は、受ける印象が全く違うと思いますが、すべて賢治さんが書いた作品です。
どうか一つでも、小さな星のかけらを見つけて、心にそっと持ち帰っていただけますように。

ものがたりグループ☆ポランの会 代表 さいき香里

プログラム

1.「注文の多い料理店 序」

目の前に広がるのは、岩手の美しい風景。言葉がコラージュのように重なり、まるで絵本を読んでいるような不思議な感覚で、幻想的な世界へと誘われていきます。
白井たかあきが岩手の風や、大地の力強さを感じながら作り上げたオリジナル曲と共に幕が上がります。

出演:さいき香里/河合ゆみこ/佐沢しずえ
作曲・演奏:白井たかあき(『注文の多い料理店 序』)

2.「注文の多い料理店」

都会から狩猟に来た二人の紳士が、山奥で道に迷い、こつぜんと現れた西洋料理てん “やまねこけん” に入ってみると、奇妙な注文が記されたいくつもの扉と長い廊下が続いていた。紳士たちは注文通りに長い廊下をずんずん進んでいく。
合計13にも及ぶ扉のメッセージや注文は、二人の紳士の様子をうかがいながらリアルタイムで示されている。現代であれば実現可能な状況を、賢治は大正時代に発想していた!!

出演:鈴木たいじ/森下たかし/武井まこと
作曲・演奏:白井たかあき(『注文の多い料理店』)

*****15分休憩*****

3.ツチガミと狐

ごく乱暴で髪もボロボロ、過去の存在として人々から忘れられているツチガミと、上品に着飾り、偽りの自分を演じる狐。
樺の木に思いをよせる、ツチガミと狐のコンプレックスが互いに交差し、転がっていく。
なぜ信じるのか。なぜ信じられないのか…。正直とは、不正直とは…。

出演:
地の文:さいき香里/河合ゆみこ、ツチガミ:森下たかし/かずみあきこ、狐:鈴木たいじ/佐沢しずえ、
樺の木:小寺まみ/南雲まい、木こり:武井まこと、演奏:白井たかあき(バイオリン)/かなざわあきこ(ピアノ)

演奏曲:
ドヴォルザーク作曲 ソナチネ 第2楽章、第3楽章
ヴァイネル作曲 狐の踊り(「3つのハンガリー民族舞曲」より)
バルトーク作曲 棒の踊り、角笛の踊り(「ルーマニア民族舞曲」より)

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キャストプロフィール

(語り)さいき香里
ヘリンボーン所属。ものがたりグループ☆ポランの会代表。16年間NHK広報ナレーションを務める。TVCM、映画予告などにナレーターとして多数出演する他、東京芸術劇場、新国立劇場、世田谷パブリックシアター、東京芸術祭2024など、舞台公演の鑑賞サポート(音声ガイド)に携わっている。映画『こころの通訳者たち〜What a Wonderful World〜』に出演。

(語り)森下たかし
劇団キンダースペース所属。日本の近代文学の舞台化、海外戯曲等に出演。代表作には、太宰治『トカトントン』一人芝居、『新・復活2024』ネフリュードフ役、『銘々のテーブル』ジョン役等がある。その他、江戸川乱歩作『押絵と旅する男』一人芝居、新宿平和記念展示資料館での労苦体験手記の一人芝居、高校演劇科での特別授業ワークショップ講師。

(語り)鈴木たいじ
2016年より、ものがたりグループ☆ポランの会の公演に参加。心象スケッチ『春と修羅』+補遺、完全版朗読CD6枚組では37作品の朗読を担当。『リア王』エドマンド役、『リチャード二世』ヘンリー・ボリングブルック役等、シェイクスピアの古典演劇の舞台に出演。ラジオCMやラジオドラマに出演のほか、朗読配信企画「和の音」にてさまざまな文学作品の朗読も行う。

(語り)小寺まみ
ぷろだくしょんバオバブ所属。2014年より、ものがたりグループ☆ポランの会の公演に参加。海外ドラマ『スクール・オブ・ロック』エスメラルダ役、オンラインRPG『タワー オブ アイオン』カルノン役など…、フリーノベルゲーム『泣けない兎』花の精霊 イリス役など、海外ドラマ、アニメ、ゲームに声優として多数出演するほか、朗読公演や舞台などにも出演している。

(手話)河合ゆみこ
北海道札幌市出身。フリーランスのろう俳優として様々な舞台、テレビ、映画などに出演。2023年にミナテマリ2人組ユニット「てことば・てかなで・てあそび Duoメリマリ」を結成。サインポエトリーやサインミュージックを中心に、ポエトリーてことば、ろうリズム、大人や子どもの「めと手と手と。」などの各種ワークショップなどで意欲的に活動を広げている。2022年からはポランの会の公演に出演。

(手話)かずみあきこ
和歌山県立和歌山ろう学校卒業。日本ろう者劇団所属。
2015年に自ら旗揚げしたサイレントの身体ユニット『うごく作品』で活動中。

(手話)佐沢しずえ
日本ろう者劇団に入団し、舞台や映画に出演。NHK「みんなの手話」のアシスタントなどを務める。
退団後は、特定非営利活動法人しゅわえもん設立。ターネット舞台手話通訳養成講師。NHK「手話で楽しむみんなのテレビ×サイエンスZERO」、NHKドラマ「デフ・ヴォイス」(出演)。「手話劇!夏の夜の夢」(手話監修・演出)。4月より「みんなの手話」(出演・手話監修)。

(手話)南雲まい
ダンサー、俳優、アーティスト。幼少時からモダンダンスを学び、現在は手話を活かしたパフォーマンスや演劇など、身体表現全般に活動を広げる。カンパニーデラシネラ『鑑賞者』出演(2013年)、百瀬文《SocialDance》出演(2019年)など。
音声言語と視覚言語を用いた複数言語の「ゆらぎ」をテーマにした“母語の外で旅をする”(2024)東京都現代美術館で展示。

(手話)武井まこと
手話通訳士。両親ともろう者の家庭に生まれ「CODA(コーダ)」として育つ。
手話と音楽の融合を志し手話バンド『こころおと」結成。ケイティ・ペリーやSPEEDなど国内外のミュージシャンとのコラボレーションを行う。テレビドラトマ『新・星の金貨』、『silent』、映画『バベル』、『ゆずり葉』などの手話コーディネート、TOKYO2020オリンピック・パラリンピック(手話通訳統括)。

(バイオリン)白井たかあき
筑波大学付属盲学校音楽科を経て、2006年桐朋学園大学音楽学部バイオリン科卒業。全国各地での演奏の他、学校での講演(トーク&ライブ)、舞台音楽への参加、アニメやゲーム音楽のレコーディング、ラジオパーソナリティ、囲碁など、幅広く活動中。2019年「空と大地のノスタルジア」を発売。
映画『こころの通訳者たち〜What aWonderful World〜』に出演。Gogle PixelのWeb CMに出演。

(ピアノ)かなざわ亜希子
東京音楽大学ピアノ専攻卒業。ハンガリー国立リスト音楽院へ留学。
静岡県学生音楽コンクール第1位、及び県教育長賞、SBS・静岡新聞社賞受賞。PTNAピアノコンペティション・コンチェルト部門、全国決勝大会入選。「倉本聰とその世界」磐田公演において協奏曲のソリストとして依頼され、歌手の平原綾香氏とも共演。
これまでに、ハンガリー、イタリア、アメリカ、セルビア、ドイツ、タイなど世界各地にて演奏。

(音声ガイド)原ミユキ
音声ガイドット代表取締役/ディスクライバー。ぷろだくしょんバオバブ所属。
2011年より8年間、JVTA音声ガイドライター講座のナレーターを担当。そこで出会った全盲の方の「全ての映像に音声ガイドをつけてほしい。その中から選びたい」という言葉にハッとし、「音声ガイドを当たり前にしよう」と決意2020年に志を遂げるべく会社を設立し、舞台・テレビ番組・配信動画等の音声ガイドを制作している。

▼スタッフ

演出:さいき香里/演出助手:植松りか(劇団 花鳥風月)/オリジナル演出:窪田たけし/舞台監督:森下たかし/照明:石井たかひこ/照明助手:坂巻たまみ/イラスト:くさかあきら/デザイン:かみおかミオ/衣裳ミニチュア製作:榊としこ/音声ガイド:株式会社音声ガイドット/字幕制作:鈴木たいじ、山田よう/字幕監修:廣川あさこ/字幕OP:下藤ただし/制作:堀川さおり、山田よう、のざき美樹、小寺まみ/写真撮影:池田あらた/記録撮影:こし美絵/広報協力・記録執筆:おおほり久美子/手話通訳:小松ともみ、吉田あき、せいたまみ/受付・会場整理:みやぎ里佳、たわら綾子、日野ゆうこ、ななえ、木原みい、南まり/ミニチュア協力:高橋レイ子、鳥羽さなえ、高橋くみ

【裏表紙】

グラデーションの裏表紙。深い緑色から柔らかな黄緑色に変わる。
黄緑色の光の中には、小さな光のカケラが輝いている。

主催:ものがたりグループ☆ポランの会
協力:シネマ・チュプキ・タバタ/株式会社音声ガイドット/NPO法人シアター・アクセシビリティ・ネットワーク(ターネット)/舞台芸術創造機関サイ/株式会社イヤホンガイド
後援:宮沢賢治研究会/宮沢賢治学会イーハトーブセンター
助成:芸術文化振興基金助成事業/公益財団法人 全国税理士共栄会文化財団/
公益財団法人東京都歴史文化財団 アーツカウンジル東京[東京芸術文化鑑賞サポート助成]

本事業の鑑賞サポートは、「東京都文化戦略 2030」の取組「クリエイティブ・ウェルビーイング・トーキョー」の一環でアーツカウンシル東京が助成しています。

右には芸術文化振興基金のロゴ。芸術を限りないパワーで、力強く未来に向かって育成するイメージを、英語「ART」の頭文字のAと、無限大の記号というエレメントで構成したシンボルマークです。