地の文章を語り手が語り、登場人物を役者が演ずる「語り合わせ」

宮澤賢治の最高傑作と称される「銀河鉄道の夜」を原文のまま2種類の構成で上演。
最終稿を原文のまま舞台化

銀河鉄道の夜 ヘヴィ・メタルver

銀河ステーション 銀河ステーション
聞こえてくるのはロックのリズム
ジョバンニが乗った列車は『ヘヴィメタル列車』だった
出会いと別れ 本当の幸いとは
命と宇宙をテーマにヘヴィメタルで描くファンタジー

普遍の想いは変化しながら繋がれていく

この普遍の物語りは次から次に、問と答えを提示してくる。自らの価値観や物の見方が変化すると物語が変容する。だが、大切なことも忘れてはいけないことも、全てこの物語の中にある。だから最終稿と呼ばれる第四次稿のテキストを、全部、やる。脚色などを一切せず、脱字箇所の補填のみにとどめ、死の直前まで加筆、訂正を続けて残した、宮沢賢治の想い、未完成の原稿を後に膨大な時間と労力をかけ丹念に検証と検討を繰り返し、現在私たちが読む事のできる形となるまで編集に取り組まれた方々の想い、この物語と出会えたことに幸せを感じながら、登場人物の台詞だけでなく地の語りも余すところなく、物語の全てを届けたい。物語の四分の三を占める幻想第四次空間に登場する人々はジョバンニに少しずつだが、確実に変化をもたらしていく。出会いと別れの中で、共感し影響しあっていく。その先の人生にお互い直接関わることは出来なくても、ささやかな時間の共有がとても大切なものとなる。人はそうして繋がっていくのだろう。

ヘヴィメタルの楽曲と宮沢賢治が紡ぎ出す繊細で命溢れる幻想的な言葉の世界と、今を「生きる」登場人物たちとが織りなす舞台に心と身体を委ねていただければ幸いであります。

銀河鉄道の夜

「もうじき白鳥の停車場だねえ。」
「ああ、十一時かっきりには着くんだよ。」


白鳥の停車場
「夢の国」のゲートが開く
くすんで見えていた世界が、色鮮やかな世界へと変わる
列車の旅をつづける中で大きく成長するジョバンニ
もう、淋しくなんかない
ありがとう カムパネルラ

世界がくすんで見えるのは、心を閉ざしているからなのか。
ジョバンニの声は誰にも届かない。心を開けば世界が広がり見える景色が違ってくる。
「世界は一つ」をテーマに、劇中に各国の民族衣装を纏った乗客のファッションショーが組み込まれている。
幻想第四次空間の住人たちは、とびっきりの笑顔でジョバンニとカムパネルラをもてなします。

猫の事務所

     ……ある小さな官衙に関する幻想……

エリートが働く猫の第六事務所で繰り広げられる日常と、かま猫への「いじめ」

一番、二番、三番そして四番と順番がつけられ
序列のある社会
競争、競争また競争
妬まれ、疎まれ、虐げられる
はたして獅子は正義なのか……

土神と狐

『神』であることのプライドと
『たかが狐』にさえ劣っているのではないかという不安に
押しつぶされそうになる土神
そして狐もまた嘘で固めた自分自身に押しつぶされそうになる

樺の木の存在によって明らかになる「土神と狐」の姿
誰もが持っている「土神と狐」の姿

フランドン農学校の豚

「この世はほんとうにつらいつらい、本当に苦の世界なのだ」

哲学する、豚
思考する、豚
意思持つ、豚
学長も、教師も、助手も、小使いも、生徒も、
皆、自身の立場で考え、行動する
豚は自ら行動する事を、許されない