ものがたりグループ☆ポランの会の「ポラン」というのは、童話「ポランの広場」からいただいたもので、この童話はのちに「ポラーノの広場」へと改稿されます。そして「ポラーノ」は、ポラリス(北極星)から宮澤賢治が創作した言葉であるといわれています。
現在私たちが地球から見る星空で北極星は一つの大きな指標となっています。
ものがたりグループ☆ポランの会という名前には、そんな一つの指標の根源となれるように、という願いが込められています。 

沿革

2004年 ものがたり文化の会、城山知馨夫(しろやま・ちかお)氏のもと【宮澤賢治の童話を語りたい】と題して「どんぐりと山猫」「よだかの星」「やまなし」「水仙月の四日」の4作品を上演。台本を持たないで一人が一つの作品を物語る【一人語り】と出会う。
2009年 彩木香里、小川智代の二人を主宰として新体制を確立。
2014年 彩木香里が代表となり様々なスタイルで表現活動の場を広げる。ワンコイン500円のミニステージの開催や音声ガイド付き上演、鑑賞サポートつき上演に取り組む。
2016年 花巻での朗読会、心象スケッチへの取り組みをはじめる。
2020年 心象スケッチ『春と修羅』朗読CD収録。
2021年 イーハトーブ賞奨励賞受賞。
2022年 鑑賞サポートから共同作業へ。視覚障害者のバイオリニスト、手話パフォーマーとの舞台公演創りに取り組む。

書かれてあるままに

宮澤賢治が描いた情景や状況、紡がれた言葉やリズムをそのまま伝えたいという想いから、脚色を加えず句読点にも留意して表現しています。

宮澤賢治は一つの物語を書き上げる際、推敲を重ね一つ一つの言葉を丁寧に選んでいます。言葉は、時代と共に変化して行くものですが、その時代を象徴するものでもあります。書かれてあるままに、全て、伝える。それは宮澤賢治のメッセージを正確に伝えることでもあると思っています。
(今日の人権意識に照らして、不当・不適切と思われる、人種・身分・職業・身体障害・精神障害に関する語句や表現については、時代的背景と作品の価値にかんがみ、そのままとしました。 ー宮沢賢治コレクションより引用ー)

スタイル

ものがたりグループ☆ポランの会では、日本の伝統芸能「浄瑠璃」に倣って賢治童話を構成しています。
浄瑠璃とは全く別物ですが、舞台に立って、語りで情景を伝えるということは同じです。
古来より広く親しまれてきた浄瑠璃のように、多くの方々に賢治童話に慣れ親しんでいただきたいと願っています。

・浄瑠璃とは、三味線伴奏による語り物です。
語り物とは、三味線で拍子を取りながら語って聴かせる物語の事を指します。
江戸時代に入ると、浄瑠璃は多くの流派に分かれ、浄瑠璃は歌舞伎・人形劇などの劇場音楽として発展しました。
現在は、「浄瑠璃」といえば、有名な一派である義太夫節を指すことが多いようです。また、浄瑠璃と人形劇を組み合わせた人形浄瑠璃の1つである文楽も有名です。

(日本文化いろは辞典より)

「よだかの星」の舞台写真。赤い着物ドレスの彩木香里(さいきかおり)よだかが空を飛ぶシーンを。両手を広げて空を見上げている。

一人語り

地の文章から登場人物の台詞まですべてを一人で語る"一人語り"は、風景描写や、登場人物の行動描写、心情描写を語り分けます。

「銀河鉄道の夜」の舞台公演写真。舞台上には魂をイメージした7つの白い球体。7つの球の中心に立つジョバンニ役の男性。仮面をつけたコロスがジョバンニを囲んでいる。

語り合わせ

地の文章を語り手が語り、登場人物を数人の役者が演じます。

「鳥箱先生とフゥねずみ」の舞台公演写真。段ボールで作った鳥箱から手を顔だけを出した鳥箱先生役の鈴木太二。ねずみの夫婦役の2人はチェックの袴姿。驚いて後退り、両手をあげている。

アテブリ語り

地の文章と登場人物の台詞を語り手が語り、役者は登場人物の動きや表情を語り手の描写に沿って身振り手振りを交えて演じます。