手話と音楽と語りで綾なすライブセッション 2022
わたくしという現象

わたくしといふ現象は
仮定された有機交流電燈の
ひとつの青い照明です
宮澤賢治 ー『春と修羅』 序 ー


現象
現象とは人の五感によって観測することのできるあらゆる事実、物事のこと。 この世にあるもの全ても、それを内包する世界も事象であり、現象です。 空を飛ぶ鳥や、風の音、大地に根ざす草木、そして私たち自身も「ひとつの現象」です。 さらに幅広く、存在が認識できる全てのできごと・・・即ち宇宙! 世界が宇宙なら、人々は銀河。 各々の中にたくさんの瞬く星々を孕(はら)み、それぞれ違った形、違った煌めきを放ちます。 そして今回、形も煌めきも全く違う3人が集まりました。
「手話」と「音楽」と「語り」で表現する「よだかの星」はまさしく五感で感じる「現象」です。
見える、見えない、
聴こえる、聴こえないの壁を超えて
「生きる」ということは挑戦するということ。作品を創り上げて行く中で、出演者スタッフ一丸となってさまざまなことに「挑戦」しました。この企画を通して、壁のひとつをつくっているのは自分自身なのではないかということに気付きました。
お互いを知り、歩み寄ることが何よりも大切。「壁」だと思っていたものは、未知の世界への「扉」でした。
勇気を出して、扉を開けて、世界を広げていきましょう!
彩木香里
日々、コロナウイルスを含め、各地での戦争や差別、
ありとあらゆる「壁」と「分断」に憂慮している昨今ではありますが
ミクロな世界で見てみても、我々の周りには様々な「壁」や「分断」があると思います。
問題は各々の前に立ちふさがる「壁の存在」や「無意識の分断」に
我々自身が気づいているのか?
「普通」とはなんでしょうか?
「最初はグー」が本当に全ての人にとっての普通なのでしょうか?
「普通」という「壁」に、「常識」と言う「分断」に一矢報いるべく
今回はある一つの点(視覚)と点(聴覚)を線(心)で繋いでみよう!
そして繋いだ物も可能な限り「全て」の人に届けよう!
皆が繋がれば理解し助け合える。そうすれば壁も分断も無くなる!
石神哲朗

(白井)僕らはステージ上でお互いのことを知ろう、感じようっていうのを努力して、これはきっと努力をしてできるんじゃないかという予想は立つんですけれども、お客様にも「手話」「音」「声」「語り」全てを届けたいし、つかんでほしいっていう思いがあって……。
聴こえないお客様に白井崇陽さんの演奏を届けたい!と辿り着いたのは球体型デバイス、SOUND HUG(サウンドハグ)でした。SOUND HUGは楽器の演奏や声に合わせて振動し、音楽を光(視覚)と振動(触覚)で楽しむことができる音楽装置。
光の演出効果もあり、青い光は宇宙を連想させ、赤い光は「よだかの星」の情熱的なシーンとリンクしました。
-SOUND HUGピクシーダストテクノロジーズ株式会社-

花巻公演では、ダグ・ローランド監督が今公演の趣旨に賛同してくださり、
盲ろうの俳優を主役に起用した世界初の映画、アカデミー最優秀短編映画賞候補作
「Feeling Through」を上映。出演俳優が字幕吹替を担当しました。
手話と音楽と語りで綾なすライブセッション
〜わたくしという現象〜
2022年6月29日
東京公演 ルーテル市ヶ谷ホール
2022年9月4日
花巻公演 宮沢賢治イーハトーブ館
【第一部】
春と修羅・序
まなづるとダァリヤ
永訣の朝
【第二部】
白井崇陽× 金澤亜希子 演奏会
【第三部】
手話と音楽と語りで綾なす「よだかの星」
作:宮沢賢治
構成・演出:彩木香里
出演
語り:石神哲朗 (東京)/ 小寺麻未(東京) / 彩木香里 (東京・花巻)/ 鈴木太二(東京・花巻)
手話:河合祐三子(東京・花巻)
演奏:白井崇陽(バイオリン)/ 金澤亜希子(ピアノ)
スタッフ
音声ガイド:鈴木橙輔(バリアフリー演劇結社ばっかりばっかり)
字幕制作:鈴木太二
映像制作:石神哲朗
絵:とき
衣裳:榊登司子
ヘアメイク:西尾亜季奈
舞台・照明・操作:植松りか(劇団花鳥風月)
サウンドハグ操作:ピクシーダストテクノロジーズ株式会社
配信・映像撮影:U-3(ユースリー)
宣伝協力:小寺麻未
協力:CINEMA Chupki TABATA
特定非営利活動法人シアター・アクセシビリティ・ネットワーク(TA-net)
日本映像翻訳アカデミー
バリアフリー演劇結社ばっかりばっかり
株式会社音声ガイドット
ヘリンボーン
倉垣吉宏(舞台芸術創造機関SAI)
企画・制作:ものがたりグループ☆ポランの会